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立憲野党私設応援団(70)政権交代の可能性について考えてみる(その15)〜憲法9条変えさせないよ

※この連載はSAMEJIMA TIMESの筆者同盟に参加するハンドルネーム「憲法9条変えさせないよ」さんが執筆しています。


<目次>

0.野党による政権交代の可能性について考えてみた過去の議論の紹介

1.自民党総裁選と立憲民主党代表選の展望

2.「野党共闘」から「野党共生」に衣替えしよう

3.「ロスジェネ見殺し」と「小泉・竹中ろくでもない」

4.「ザイム真理教の教義に抵触しない積極財政」を模索する

5.長期ビジョンは「ドイツに学び、ドイツに追いつけ」

6.トピックス①:京都国際高校甲子園初優勝

7.トピックス②:大谷翔平選手40本塁打40盗塁達成


0.野党による政権交代の可能性について考えてみた過去の議論の紹介

私が連載を担当している「立憲野党私設応援団」において、過去に14回「政権交代の可能性について考えてみる」というタイトルの論考を掲載しました。

今回はその15回目の議論です。

前回までの議論を参照したい方のために、これまでの14回の記事のリンク先を載せてから、議論を始めます。

「政権交代の可能性について考えてみる(その1)」

「政権交代の可能性について考えてみる(その2)」

「政権交代の可能性について考えてみる(その3)」

「政権交代の可能性について考えてみる(その4)」

「政権交代の可能性について考えてみる(その5)」

「政権交代の可能性について考えてみる(その6)」

「政権交代の可能性について考えてみる(その7)」

「政権交代の可能性について考えてみる(その8)」

「政権交代の可能性について考えてみる(その9)」

「政権交代の可能性について考えてみる(その10)」

「政権交代の可能性について考えてみる(その11)」

「政権交代の可能性について考えてみる(その12)」

「政権交代の可能性について考えてみる(その13)」

「政権交代の可能性について考えてみる(その14)」

1.自民党総裁選と立憲民主党代表選の展望

9月に自民党総裁選と立憲民主党代表選が行われますが、自民党総裁選は小泉進次郎元環境大臣、立憲民主党代表選は野田佳彦元総理大臣を軸に話が進んでいるようです。

立憲民主党代表選に関して、Dr.ナイフさんと田中龍作さんは吉田晴美さんを推し、桃太郎さんと山本太郎さんは江田憲司さんを推していて、確かにこの2人のどちらかが代表に選ばれれば「悪夢の民主党政権」というイメージは払拭できるので、小泉進次郎元環境大臣が自民党総裁に選ばれて「小泉自民党」が誕生したとしても、衆院選で「政権交代」を懸けた戦いが展開できるのではないかという気がします。

実際の立憲民主党代表選は野田佳彦元総理大臣が有利に戦いを進めているようですが、仮に党内事情で野田元総理が立憲民主党の次期代表に選ばれたとしても、野田さんが「安倍型復権」ではなく「麻生型復権」を目指すならば、すなわち、総理大臣の座を他の人に譲り、自分は「首相経験のある財務大臣」として政権に入る形を取るならば、「政権交代」を狙うことは可能なのではないか、と私は考えています。

例えばの話になりますが、法政大学元総長の田中優子さん、あるいは、東京大学教授の加藤陽子さん、といった学識経験者を「野党共通の首班候補」とし、立憲民主党が衆院選で比例ブロック単独1位に名前を載せて選挙に挑み、その後の特別国会で首班指名に臨むのです。

首班指名選挙で過半数を取ることができれば史上初の女性総理「田中優子総理」または「加藤陽子総理」が誕生、首班指名選挙で過半数を取れなかった場合にはすぐに衆議院議員を辞職して立憲民主党に議席を返還することにすれば、純粋に「首班候補」として民間人を担ぐことが可能になります。

田中優子さんは「戦争をさせない1000人委員会」の発起人で、加藤陽子さんは「立憲デモクラシーの会」の呼びかけ人をやっていた方で、仮に立憲民主党からそのようなオファーがあったとして「野党共通の首班候補」の役を引き受けてもらえるかどうか分かりませんが、もし加藤陽子さんが首班候補となって自民党政権を倒すというような展開があるとすれば、2020年に日本学術会議の新規会員候補として挙げられながら当時の菅義偉総理大臣によって任命を拒否されたことへの「リベンジ」を果たす形になるので、非常に面白いのではないかと個人的には考えています。

2.「野党共闘」から「野党共生」に衣替えしよう

次期衆院選に向けた「野党共闘」ですが、これは全く機運が盛り上がらないどころか、立憲民主党がれいわ新選組を目の敵にして狙い撃ちしている状況で、目を覆わんばかりの有様です。

とはいえ、立憲民主党の代表が、泉健太さんから誰か別の人に代わるなら、そのことを機に「新たな選挙協力」の形を模索できる可能性があるのではないかという期待もあります。

今期限りの引退を表明している共産党の穀田恵二国会対策委員長の話を聞いて、私が思い付いたことがあります。

穀田恵二さんの交渉によって「3分→5分→8分」と政治倫理審査会での共産党の質問時間の持ち時間が増えていったという話でしたが、今後はこのような個別の交渉ではなく、「国会での質問時間」を「野党間の選挙協力の対価」としてルール化していったらどうだろうか、というのが私のアイデアです。

今の「市民連合の仲介による野党共闘」は、2015年の安保法制の時から10年近く続いていますが、それは他党が候補者を降ろして時の野党第一党の候補者を当選させるか、野党各党が一致協力して無所属の候補を推して当選させるかにほぼ終始してきました。

例外は2015年の安保法制の前の2014年にすでに成立していた「オール沖縄」だけで、前回の2021年衆院選では、沖縄1区での共産党の赤嶺政賢さんの当選と沖縄2区での社民党の新垣邦男さんの当選の2名だけが「野党第一党以外の野党候補者の小選挙区当選者」であり、それ以外は「野党共闘」の候補者が小選挙区で当選するとしても、それは全て立憲民主党の候補者か、もしくは無所属の候補者でした。

そのことを考えれば、自民党と公明党のように「お互いに小選挙区で当選者を出す」ような選挙協力は、沖縄以外では事実上無理なのだろうと考えざるを得ません。

そこで、ほとんど候補者を降ろしてばかりの「野党第一党以外の野党」にとってもメリットがあるような、互恵的な「野党共生」を模索してはどうか、というのが私の意見です。

具体的には、各党の国会議員数で割り当てられている国会での質問時間に関して、立憲民主党の当選者数が実質的に他の野党の協力によって嵩上げされていることに鑑み、制度上割り当てられる質問時間を立憲民主党が自主的に他の野党に割り振ることによって、選挙区に候補者を立てずに協力する他の野党に恩返しをしてはどうか、というものです。

例えば、共産党とれいわ新選組と社民党が候補者を擁立せずに立憲民主党の候補者が小選挙区で当選した場合には、立憲民主党の1人の議員分の質問時間を「立憲民主党0.4人分、共産党0.2人分、れいわ新選組0.2人分、社民党0.2人分」の割合で配分します。

あるいは、れいわ新選組が競合する候補者を擁立して、それでも立憲民主党の候補者が小選挙区で当選した場合には、立憲民主党の1人の議員分の質問時間を「立憲民主党0.6人分、共産党0.2人分、社民党0.2人分」の割合で配分します。

そのようなやり方を導入すれば、候補者を降ろす側の政党にもメリットが出てきますし、立憲民主党以外の野党を応援する支持者にとっても「小選挙区で立憲民主党の候補者を当選させれば、自分が応援する党の議員の国会での質問時間が増える」ということで、これまで以上に応援に力が入るのではないかと期待できます。

割り振りの仕方としてこれがベストかどうかについては何とも言えませんが、いずれにしても、「国会内での質問時間の配分」を軸に「野党共生」できるような選挙協力の在り方を模索していくことを提言したいと思います。

3.「ロスジェネ見殺し」と「小泉・竹中ろくでもない」

次期衆院選は、小泉進次郎新総理の率いる「小泉自民党」との対決になる可能性が高いものと予測されます。

そのことを考えれば、次期衆院選は「小泉・竹中ろくでもない」を合言葉に、父親の小泉純一郎さんが総理大臣だった頃から20年以上続く「新自由主義路線」を徹底的に批判したうえで、「次の20年を失わせない」と銘打ち、戦後100年となる2045年を見据えた新たな経済政策と少子化対策を訴えていくべきなのではないでしょうか。

4.「ザイム真理教の教義に抵触しない積極財政」を模索する

れいわ新選組の高井崇志幹事長は、日本経済の立て直しに向けた政策の3本柱として、「消費税廃止」と「社会保険料減免」と「季節ごとの現金給付」という政策を語っています。

れいわ新選組の独自政策としてはこの3つでよいのだと思いますが、政権交代に向けた「野党共通政策」を考える場合には、私は「消費税減税」や「消費税廃止」は現時点では見送って、その代わりに「社会保険料減免」と「年2回10万円(年間20万円)の現金給付」の実現を目指すべきなのではないかと考えています。

仮に「政権交代」が実現できたとしても、政権発足当初の新政権の政権基盤は弱く、とても財務省とケンカできるような状況ではないと思います。

「財務省とはケンカせずに、ザイム真理教の教義に抵触しない形で、国民生活を向上するための積極財政を実現する」ことを目指すべきです。

「社会保険料減免」は、財務省のお財布ではなく、厚生労働省のお財布に関する話なので、財務省との対決とはならず、また、「社会保険料減免」は企業にとっても経費削減につながるので、財界も味方につけることが可能な案件になります。

また、「年2回10万円(年間20万円)の現金給付」は、これを実施するための財源を心配する方もおられるかもしれませんが、実はここ数年、国の予算は毎年30兆円以上未執行で余っている状態にあり、その気になりさえすれば、この程度の規模の財政支出は可能な状況です。

2020年には自民党の安倍政権下で10万円の「特別定額給付金」を実施しており、前例が存在する以上、これと同じ給付金を2回実施するという案に対して、財務省は反対できないはずです。

「年2回10万円(年間20万円)の現金給付」を実施する理由づけとしては、「社会政策」というよりも「経済政策」という側面を強調し、「大不況を未然に防ぐための大型景気対策」として打ち出すのが良いのではないでしょうか。

景気対策を「自民党を応援する一部の企業に向けたお手盛り」にするのではなく「公平に全ての国民の暮らしを支える一律給付」にすることで、自民党との差別化を打ち出していくべきだと思います。

5.長期ビジョンは「ドイツに学び、ドイツに追いつけ」

戦後100年となる2045年に向けて、日本の長期的な国づくりを考えた場合には、「ドイツに学び、ドイツに追いつけ」という目標を掲げるのが良いのではないかと思います。

来年2025年には日本はインドにGDPで追い抜かれて、世界4位から世界5位に転落するという予測が出ています。

GDPの世界1位はアメリカ、世界2位は中国、世界3位はドイツですが、アメリカ、中国、インドは日本よりも人口が多く、GDPで抜き返すことは事実上ほぼ不可能ですが、ドイツは日本よりも人口が少ないため、日本が適切な努力を行えば再び抜き返すことが不可能ではないのではないかと思います。

GDPという面でもドイツは目標になりますが、少子化対策という面においても良い目標になります。

ドイツは1995年時点では合計特殊出生率が1.2と低迷していましたが、2016年時点で合計特殊出生率を1.59にまで盛り返し、「小さな奇跡」と呼ばれました。

また、ドイツでは労働者が年間約150日の休日を取得しており、年間30日ある有給休暇のうち2週間分は連続して取得することが義務づけられていて、必ず年1回の「バカンス」がある中で、日本を上回る労働生産性を達成しています。

『朝日新聞』2011年1月8日付けのインタビュー記事において、人類学者のエマニュエル・トッドさんは次のように語っています。

「民主主義を発明したのは、人類学的な視点から見て個人主義的傾向の強い国、英米やフランスで、共同体のきずなが強い国々ではない。そうした社会はもっと権威主義的で、歴史的にも日本やドイツはリベラルな民主主義がなじみにくかった。けれども日本では不平等の広がりはフランスなどよりゆっくり進みました。また、欧州内でも、民主主義がより病んでいるのはドイツよりフランスです。ドイツではまだ労組が機能しているし、大衆とエリートとの断絶もフランスほどはひどくない。」

(中略)

「家族構造の専門家である私の目から見れば、伝統的な家族構造と社会や政治についての考え方の間には密接な関係がありますが、ドイツの家族構造はフランスより日本にずっと近い。つまり、独仏間には日仏間と同じくらいの違いがある。」

このように、日本とドイツには、家族構造、あるいは社会や政治についての考え方でわりと近い面があることを考えると、日本がドイツを目標とし、ドイツの真似をしながら社会改革を進めていくというのは、比較的成功しやすいのではないかと期待することができます。

立憲民主党の新しい代表に吉田晴美さんが選ばれた場合には「吉田晴美を日本のメルケルに」をスローガンに、あるいは、立憲民主党の代表ではなく法政大学元総長の田中優子さんや東京大学教授の加藤陽子さんといった学識経験者を「野党共通の首班候補」として次期衆院選に臨む場合には、「田中優子を日本のメルケルに」とか「加藤陽子を日本のメルケルに」をスローガンにして、小泉進次郎さんを新総裁に選んで刷新感を演出してくるであろう自民党に対抗していく必要があるのではないでしょうか。

6.トピックス①:京都国際高校甲子園初優勝

甲子園100周年となる夏の高校野球で、京都国際高校が初優勝を果たしました。

7.トピックス②:大谷翔平選手40本塁打40盗塁達成

アメリカ大リーグで、ドジャースの大谷翔平選手が40本塁打40盗塁を達成しました。

39本塁打39盗塁で迎えた試合で盗塁を成功させて40盗塁を達成し、最後にサヨナラ満塁ホームランで40本塁打を達成するという劇的な記録達成でした。

その後、大谷翔平選手は大リーグ史上初となる43本塁打43盗塁を達成し、シーズン50本塁打50盗塁の達成に向けて、大いに期待が高まっています。


憲法9条変えさせないよ

プロ野球好きのただのオジサンが、冗談で「巨人ファーストの会」の話を「SAMEJIMA TIMES」にコメント投稿したことがきっかけで、ひょんなことから「筆者同盟」に加わることに。「憲法9条を次世代に」という一民間人の視点で、立憲野党とそれを支持するなかまたちに、叱咤激励と斬新な提案を届けます。