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新聞記者やめます。あと57日!【既存メディアの「翼賛体制」に風穴を開けろ!】

YouTube番組「デモクラシータイムス」に4月3日夜、出演させていただいた。朝日新聞OBであるジャーナリストの山田厚史さんらが立ち上げた新メディアで、視聴者の寄付で運営している。今年で5年目に突入するという。

山田さんは朝日新聞を代表する経済記者で、テレビ朝日のコメンテーターとしても活躍した。番組での発言をめぐり安倍晋三首相(当時)の公設秘書から損害賠償と謝罪文掲載を求めて提訴された経験もあり、報道の自由に対する信念を持つ言論人である。昨今の新聞ジャーナリズムの凋落を受けて、こうした新メディアの役割を強く再認識されているようだ。

新聞社を退社し「小さなメディア」をめざす私にとって、とても参考になる先駆者である。山田さんからの出演依頼を喜んで引き受けさせていただいた。

政治部の大先輩である早野透さんらも「デモクラシータイムス」を支援している。今回の番組出演の打ち合わせの際には早野さんに久しぶりにお目にかかり、退社のご挨拶をさせていただくこともできた。管理統制が強まる社内でもがく現役記者たちに比べ、OBの方々は実に元気だ。

4月3日夜は「デモクラシータイムス」が初めて挑戦する生放送であった。山田さんが司会を務め、上智大学の中野晃一教授、日刊ゲンダイ第一編集局長の小塚かおるさん、朝日OBのジャーナリストで軍事評論家の田岡俊次さん、そして私がコメンテーターである。スタジオに改装した都内の一室で、私たちはピンマイクを胸につけ、4台のカメラレンズを前に着席し、オンエアの19時30分を待った。

さあ、いざ本番。そこで異変は起きた。山田さんが冒頭あいさつし、コメンテーターが自己紹介をはじめたところで、配信の不具合が発覚したのだ。視聴者からのチャットで気づいたようである。映像を入れると音声が途切れ、音声を入れると映像が途切れるということであった。

二人の撮影スタッフが慌て始める。冒頭部分の簡単な収録リハーサルでは何の問題もなかったのに。懸命に復旧をめざすスタッフを前に、私たちはただ座っているしかなかった。

私はテレビ朝日「林修の今でしょ!講座」にメインゲストとして出演したことがある。「新聞の作り方」をテーマにした番組で、私は取材の現場について解説したのだった。収録ではあったが、スタジオの観覧席には一般の方々が多数いて、緊迫感があった。ともにゲストとして出演した伊集院光さんのテンポの良い語り口に「さすがプロ」と感心したものだ。上野動物園で事前収録もしたのだが、裏方として奔走する大勢のスタッフの皆さんの入念な準備と手際の良さにただただ驚いた。

生放送では、AbemaTVの報道番組「アベプラ」で、上念司さんらと「新聞はオワコンか?」というテーマで討論したことがある。東京・六本木ヒルズのけやき坂に面したスタジオからの生放送だったが、このときも司会の小藪千豊さんや小川彩佳さんらの仕切りと良さと大勢のスタッフがテキパキと動く姿に感服したのだった。

生放送冒頭からのトラブルは、テレビ局であれば大失態であろう。だが、ここはYouTubeの手作り番組である。放送機材を扱うスタッフは二人だけだった。その二人が想定外のトラブルに直面し、硬い表情で黙々とパソコンやカメラを操作していた。「新しいメディア」に挑戦する山田さんらの思いに賛同して集まったメンバーである。

私は手元にあるスマホで「デモクラシータイムス」をのぞいてみた。たしかに生放送は遮断されている。視聴者のチャットは動いていて「気長に待っています」というコメントがあった。山田さんの司会力も二人のスタッフの技術力も、テレビ局には確かに及ばない。でも、必死に復旧を目指すスタッフの姿と、あたたかく見守る視聴者の言葉をみて、マスコミがもっとも見失っているのはこの手作り感・一体感であり、そこに「新しいメディア」の可能性が潜んでいるような気がした。

ほどなくトラブルは復旧し、生放送は20分遅れで始まった。東京五輪のこと、コロナ対策のこと、解散政局のこと、デジタル庁のこと…。テーマは多岐にわたったが、いずれの話題でも、新聞社など大手メディアが権力監視機能を十分に果たさず、国家権力を忖度しながら横並び報道を続ける「翼賛体制」を強く危惧するコメントが相次いだ。

私も同感である。安倍政権以降のマスコミ界は、軍部の海外侵略と国内統制をこぞって支持した昭和初期の「翼賛体制」が再来したかのようである。ただ、番組でも述べたのだが、当時の「翼賛体制」と違って、現代には希望もあると私は思っている。それはインターネットの登場だ。

新聞やラジオの「翼賛体制」が出来上がった昭和初期は、もはや打つ手はなかったのかもしれない。しかし現代にはインターネットがある。既存メディアが「翼賛体制」に染まるほど、インターネットの世界ではそれを打ち破ろうとする新興メディアが登場し、「翼賛体制」に疑問を持つ志高いジャーナリストたちがそこへ集まってくるはずだ。「デモクラシータイムス」も、そして私が開設した「SAMEJIMA TIMES」も、そのひとつである。新興勢力が力をつけてくれば既存メディアは無視できなくなり、新興勢力側から人材やノウハウを引き抜いて対抗しようとするのではないか。そうして新旧両勢力が切磋琢磨し、入り乱れ、「翼賛体制」は打破されていくのだ。

「デモクラシータイムス」初の生放送に、初登場のコメンテーターとして参加させていただき、初の放送トラブルも経験させていただいた。そこから学ぶものは大きかった。私は20分遅れで始まった番組を楽しみ、思い切って踏み込んだ発言もさせていただいた。生放送後もYouTube「デモクラシータイムス」へアクセスすれば視聴できる。ぜひのぞいてみてほしい。

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