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執筆力はある時突然上達する。動画編集もある時上達する? サメタイYouTubeは投開票まで連夜連投!

新刊『朝日新聞政治部』に重要な役回りとして登場する政治部の先輩記者・曽我豪さんから若い時分に教わった印象深いことがある。原稿というものは毎日すこしずつ上達するのではなく、ある時、突然上達するということだ。

もちろん、文章を磨く試行錯誤を日々積み重ねるなかで、ある時、ある瞬間、ある原稿に向き合っている最中に何かをふと掴み取るのであろう。何の試行錯誤もなく突然上達するということではあるまい。それでもすこしずつ上達するのではなく、ある時突如として開眼するというのは不思議なことだと当時は思った。

その後の自らの記者人生を振り返り、私は曽我さんの教えは正しいと実感している。同僚達のご多分にもれず、私は入社当初、原稿がかなり下手だった。振り返ると何度かの節目において、一気に上達したように思う。

そのなかでも私自身の文章力が一気にグレードアップしたと思うのは、実は1年半前に49歳で朝日新聞社に退職届を出し、たったひとりでウェブメディア「SAMEJIMA TIMES」を創刊して連日、数千字の原稿を書き続けた時だった。毎夜、日付が変わる直後に新しい記事を1本は公開することを自らに課し、365日それを続けたのである(途中からは筆者同盟に参加してくれた方々に筆を譲る日もできた)。

取材で疲れ切っている日、書くネタが何も見つからない日、体調がいまいちすぐれない日。いろんな日がやってくる。それでも連夜、原稿を絞り出す。野球の練習でいえば、千本ノックだ。ときに自分でも乱筆だなあ、論旨が甘いなあと思うこともある。それでも筆者は私しかいない。来る日も来る日も書き続けた。

1年以上がたった時、自分自身の原稿力が数段アップしたことに気づいた。書くネタが手元に何もないまま午後11時を過ぎても、パソコンに向かえば何かしら書きたいことがわいてくる。そんな自信が芽生えたのだ。

短期集中合宿というものは、それなりに意味があるのだろう。心身ともに疲れ切ったなかで修練を重ねる時、人は何かをつかむのかもしれない。

つまらない話を紹介したのは、私は今、再び千本ノックを迫られているからだ。いや、今回は「私たち」である。そしてノックを浴びているのは原稿ではない。動画編集だ。

2月にYouTubeに本格参入すると宣言して以来、当初は週に1本、途中から週に2本を目標に20分前後の政治解説動画を公開してきた。私は情報収集(取材)、サメタイ執筆、書籍や他媒体への執筆・出演、講演活動などと並行してYouTube番組の企画・出演を担当する。目も耳も頭も消耗するもっともやっかいな動画編集は妻が担当してくれている。

単なる政治ジャーナリストにとどまることなく、政治系ユーチューバーになるつもりで、がんばっている。これからの時代は動画発信にこだわらなければ小さなメディアとして生き残れないという確信があるからだ。

おかげさまで、この半年でチャンネル登録者数は1万5000人を超え、順調に伸びている。動画再生回数も毎回、数万回に達するようになってきた。週二回という限られた発信にしては、好調な滑り出しだと思う。

だが、このペースで二人で番組制作を続けていくのはかなりの消耗戦だ。ブラック企業、ブラック家内制手工業といえるかもしれない。朝日新聞政治部デスク時代よりも私は働いているし、妻はもっと働いている。

だが、参院選投開票日まで私たちはさらにアクセルをふかすことにした。選挙戦の最後の一週間は連日連夜、新しい動画を公開していくことにしたのだ。まさに自転車操業、千本ノックである。さて、息が続くか。私たちにもわからない。

そんな無理をしなくてもいいのにと言ってくれる優しい人もいるのだが、猛暑の中、多くの人がボランティアでビラ配りやポスター貼りに励んでいる。この国をすこしでも良くするために。みんな頑張っているのに、私たちだけが傍観しているわけにはいかない。私も猛暑のなかでビラ配りをすべきなのかもしれないが、それよりは参院選をめぐる質の高い動画を一本でも多くつくり、ひとりでも多くの人を励まし、笑わせ、納得させ、勇気を届け、疲れたなかですこしでも気持ちが晴れるような動画を生み出すほうが、私たちにできる貢献であろうと思った。

心身ともにフラフラの中で思い出したのが、冒頭の曽我さんの言葉だった。あるとき突然上達するのは原稿に限らず、動画編集にもあてはまるのだろうか。なんか、当てはまりそうな気がする。

もうろうとしたなかで本日(7月6日)に生まれたのは以下の動画である。完成したあとに見て気づいたのだが、なかなかの出来映えではないか(これも妄想!?)。れいわ新選組で活躍する女性陣に囲まれて、カリスマ政治家・山本太郎がどこか小さく見えるサムネイルもなかなかよい(自画自賛)。

ということで、猛暑の中、七夕の気分転換に、ぜひ覗いてみてください。実は深いことが描かれているかもしれません。

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